麻雀を取り巻くメディア・産業

現在、日本において「麻雀」とはどのように認知されているのだろうか? まず第一に「テーブルゲーム」であると認識され、そこには「タバコ臭い」「学生時代の遊び」「なんだか怖い」「ネットで遊ぶ」といったイメージがつきまとっている。そこからさらに視野を広げると「麻雀」を取り巻く産業は、さまざまなバリエーションを見せている。今回の配信では「活字の麻雀媒体」を取り上げてみたが、それ以外の産業として成立している分野を紹介しておく。

[書籍]麻雀漫画、麻雀戦術書、麻雀雑誌などの紙媒体

[麻雀漫画]は竹書房が発行する麻雀漫画雑誌「近代麻雀」の連載を中心に、他の漫画雑誌でも散発的に「麻雀」を題材にした漫画が連載されている。最近では美少女麻雀アニメ「咲-Saki-」や、政治家をパロディーにした「ムダヅモなき改革」などのヒットが目立った。一定の周期でマニアの域を超えたヒット作品が生まれ、いくつかはアニメ化されて深夜の時間帯に地上波でも放送されている。

[麻雀戦術書]は麻雀の技術を教えるものであり、執筆者は麻雀プロと呼ばれる人たちが多い。その中でも、近年はネット雀士であったとつげき東北氏による統計学を用いた「科学する麻雀」や、福地誠氏による「ネット麻雀ロジカル戦術入門」など、ネット麻雀に関わり深いものも見られる。

[麻雀雑誌]一般の人に届くレベルで流通しているという意味では、現在は竹書房が発行する「近代麻雀」が唯一の麻雀雑誌(正確には麻雀マンガ雑誌)である。過去には、数冊が月刊誌として発売されていた時期もあったが、現在は竹書房発行のみである。その他、麻雀活字媒体も散発的に発行されるが、どれも長くは続かないのが現状である。


科学する麻雀
科学する麻雀 (講談社現代新書)

[映像]アニメDVD、テレビ番組、プロ関係のDVD、AV、ネット配信

[アニメDVD]人気のあった麻雀アニメのいくつかは、DVDという形で最終的に発売されている。深夜の時間帯に地上波放送されるケース(咲-Saki-、アカギ)や、レンタルや販売のみを目的に作られるOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)として発売されるパターンなどがある。いくつかの作品は、麻雀のルールを知らない一般層を巻き込んだ人気作品となっている。また、作品によっては実写化などもされてV-シネマとして発売されている。

[テレビ番組]昭和の麻雀ブームには、小島武夫プロなどを筆頭にタレント的な役割で地上波の番組に出演するケースがあった。現在はプロの対局などを放送する「モンド21」などが麻雀番組としてスカパーで放送されている。また、フジテレビで不定期で生放送されている「THEわれめDEポン」なども有名である。こちらは芸能人同士の対局などを放送している。

[教材DVD]麻雀プロの対局を収録したもの(モンド21の対局など)や、プロが打ち方を指南した教材的なDVDなどが発売されている。

[AV・お色気]しばしばAVやお色気番組の企画として「脱衣麻雀」が取り扱われる。スカパーの18禁番組「パラダイステレビ」などが有名である。

[ネット配信]近年はネット動画(youtubeなど)、ネット生配信(Ustream、ニコニコ生放送)などのインフラが整ったため、プロなどが出演する手作りの番組や、アマチュアのネット雀士による草の根配信的なもの(ゲーム配信)が活発になっている。

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井出洋介の東大式 麻雀 虎の穴 vol.4 [DVD]

[麻雀ゲーム]家庭用ゲーム機、アーケード、ネット麻雀、モバイル

[家庭用ゲーム機]麻雀ソフトはファミコンの時代から、すべてのハードで出されているため「ゲーム」をキッカケに麻雀を始める人も多い。ソフトはプロ団体とタイアップしたものや、アニメを題材にしたもの、本格的なものまで幅広い。パソコン用ソフトとしても数多く発売されている。

[アーケード]リアルタイムでネットワーク対戦ができるコナミ「麻雀格闘倶楽部」やSEGA「MJ」のシリーズなどが人気を博している。勝つとゲーム上のキャラクターが脱ぐ「脱衣麻雀」などは、確かに長くジャンルとして存在しているが、現在は下火である。パソコン用のソフトには18禁の麻雀は多いが、ややマニアなジャンルに移行しつつある。

参考:脱衣麻雀の歴史「それなら麻雀で勝負よ

[ネット麻雀]ネット黎明期の東風荘をはじめ、現在も天鳳、ハンゲーム、Maru-jan、雀龍門、など数多くの麻雀をプレーできるサイトが存在する。麻雀サイトは数多く登場しては、消えていった。主に無料なものが多いが、アバター課金、プレー課金、高機能なシステムが使えるための課金(ゲーム性の上で優遇されるわけではない)など、さまざまな課金形態がある。プロ団体と提携しているものも多い。海外サーバーを利用した「実際にお金が賭けられる」といったものも過去には存在した。

[モバイル麻雀]携帯でプレーできる麻雀は大きく分けて、ネット経由でリアルタイムで対人戦を行うもの(雀ナビ)や、純粋にコンピューターと対戦を行うものなどがある。キャラクターものや、プロとタイアップしたものなどがある。

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[ネット]麻雀ブログ、麻雀ホームページ、動画配信

[ホームページ]「麻雀に関するホームページ」と一括りにできないほど、ホームページが存在している。個人がルールや戦術を解説するページから、雀荘のページ、プロ団体のページなど「ネットでプレーできる」という条件を外しても、かなりの数が存在している。

[sns]麻雀をテーマにしたSNSとして、プロ団体の女流プロが多く登録する「はこてんパラダイス」、天鳳の有志サイト「天鳳のSNS(ドボン天国)」、桃色大戦パイロンの公式SNSなどが存在している。

[ブログ]ブログも多岐にわたり、自分の麻雀プレイを報告するための日記であったり、戦術など持論を展開するもの、女流プロなど日記、団体のプロモーションなど。月刊ネットマージャンには数多くのブログが登録されている。

[月刊検索ボリューム]同様のテーブルゲームでのグーグル検索ボリュームの比較

[麻雀]1,830,000 [将棋]1,222,000 [囲碁]450,000 
[チェス]165,000 [オセロ]201,000 [花札]165,000

[プロ団体]麻雀プロ

[麻雀プロ]日本にはいくつかの麻雀プロ団体が存在している。麻雀プロになるには、試験を受けて合格する必要があり、会費として年間で登録費がかかるのが一般的である。プロテストそのものは、さほど難関試験というわけではない。プロになったからといって給料が支払われる性質の「プロ」ではなく、自ら積極的に活動していかなければならない。プロ野球やサッカー選手の「プロ」よりも、ボーリング、ビリヤード、サーフィン、スノーボードなどの「プロ」をイメージするほうが近いかもしれない。プロ団体に所属することで理屈の上では「プロ」を名乗ることが可能になるが、法的な意味合いはなく、どこのプロ団体にも所属しない「フリープロ」もいるので、有効性は不明だ。

ある意味、誰にでもなれてしまう要素や、特にプロとして収入のないプレイヤーが多いこと、「プロ」の響きからは程遠い、技術を伴わないプレイヤーも一括りに「プロ」とされているため、一部では「サークル活動」などと揶揄されることもある。またプロ団体そのものも、作ろうと思えば簡単につくれてしまうなどの問題点もある。

プロとしての収入源は、タイトル戦に出場して賞金を獲得したり、プロの肩書を活かして戦術書の出版や、雀荘などへのゲスト活動(特に女流プロなどが活発)、アーケードゲームなどが主催するイベント参加、コラム執筆、マンガなどの原作・アドバイザー的なものなどがあげられる。

女流プロの中には写真集やCDを発売するなどの活動を行う人や、逆のケースとして、タレントくまきりあさ美が麻雀プロに合格したことや、グラビアアイドルの折原みかが麻雀のイベントに参加するなど「麻雀」をプロモーションに使うケースも見られる。萩原聖人なども麻雀が強いことを活かし、麻雀産業での活動を行っている。

おりりんハート―折原みか写真集
おりりんハート―折原みか写真集

[雀荘]雀荘・麻雀教室

[雀荘]は見知らぬ人と麻雀を楽しむことができる場所である。法に触れない程度の余興として金銭が賭けられている場合がほとんどである(ノーレート雀荘も存在する)。昭和時代の名残から「鉄火場」「賭場」の空間として誤解されるケースもあるが、チェーン店などでは麻雀を楽しむ「サロン」的な空間を演出している。イメージが抱える問題をどう解決するかは、長らく雀荘業界の課題でもあるようだ。従業員として、麻雀プロを雇用したり、人気の女流プロをゲストに呼ぶことでプロモーションなどを行っている。

近年は知的なパズルゲームとしての麻雀もクローズアップされており、プレー中にタバコを吸わない「健康マージャン」や、カルチャーセンターのような場所で麻雀教室などを行っている場合もある。

[その他]自動卓、麻雀牌、アクセサリーなど

麻雀卓や麻雀牌を専門に作るメーカーも存在している。一般顧客向けに作られた家庭用の麻雀牌、サイコロなどの関連商品から、雀荘向けの全自動卓などを生産、販売している。これも「麻雀」を取り巻く産業の1つだろう。

まれに携帯ストラップなどのアクセサリーなども見かけるので、これも広義には麻雀を扱う産業になるかもしれない。