麻雀活字の可能性・種類

仮にあなたがまったく麻雀のルールがわらない人だったとしよう。麻雀へ興味がなく「阿佐田哲也?ああ、なんか聞いたことがある。よく知らないけど」というぐらいの知識、それ以下であることがごく一般人の平均的な形ではないかと思う。そんな人に対して、麻雀に関する文章を読ませ、楽しさを理解させ、そこからさらに金銭を支払って何かしらを購読してもらうようなことは可能だろうか? 仮にそれを目指すとして、どこから入ればいいのだろうか。身近に存在する麻雀の文章をリストアップしておく。この中でまったく麻雀を知らない人が楽しめるものはどれだろうか?(あるいは、そんなものが存在しているのだろうか?)

[歴史・回顧録]古川凱章の麻雀新撰組にかけた男たち 古川凱章

古川氏は、阿佐田哲也氏、小島武夫氏と共に昭和麻雀ブームの象徴である「麻雀新撰組」のオリジナルメンバーである。現在、当時の回顧録のような形でブログを公開しているので、無料で読むことができる。分類としてはエッセイになるのだろうか。麻雀のルールそのものをしらなくても面白さは理解できるかもしれない。

古川凱章の麻雀新撰組にかけた男たち

[観戦記/牌譜]第6期雀王決定戦観戦記 田中太陽

「観戦記」とはタイトル戦などの対局を見た感想を書いた文章であり、自分の対局について自分自身で書くのは「自戦記」となる。古い麻雀雑誌などでは主要なコンテンツだったはずだ。現在、麻雀ブログと呼ばれるものは、この「自戦記」をライトにしたものも多い。

「牌譜」(ぱいふ/はいふ)は将棋で言う「棋譜」にあたり、どのような牌を捨て誰があがったかなどを客観的に記録したものである。ネット麻雀サイトでは自分の対局の記録を「デジタル牌譜」として残せるものがある。従来の牌譜に比べて視覚的にもわかりやすい。

第6期雀王決定戦観戦記 田中太陽

リンク先はかつてプロ団体に所属し、現在はスポーツライターとして活躍する田中太陽氏によるプロ団体タイトル戦の観戦記。プロ団体在籍時に書かれたもの。麻雀を知らない人がこれを見た時に、何を感じるのか、そもそも読もうと思うのか?など、内容とは無関係に疑問もある生粋の麻雀の文章だ。01さん理想雀士さんの草の根的麻雀放送に出演した時に、共に出演した元麻雀プロ、長村大氏との興味深いやり取りががあったので引用しておこう。

牌譜や観戦記は商品になりうると思いますか?という質問を受けて。
[田中]これは(答えが)2つですね。観戦記は商品になりうると思います。牌譜は商品になるとは思えません。
[長村]そうかな? 俺はどっちもならないと思う。観戦記で面白いものは確かに存在すると思うけど、金で買って見るやついないでしょ?
[田中]そうかな? おれらの感覚としてやっぱり面白い読み物には金払うみたいなものはあるから。
[長村]もちろんそうだけど、それって感覚として一般的ではないでしょ? 商品になるかという疑問に対しては…。わからない。牌譜が商品にならないっていうのは間違いないと思うけど。

引用:麻雀ラジオ第15回より

なんという冷静で的確な判断力なんだ…。

[田中]僕に仕事をくださる格闘技雑誌の編集長さんに、その方は麻雀もよくやる方なんですけど、こんな観戦記を書きましたということで、ちょっと感想を求めたんですけど。あくまで観戦記を外側に向けて発信するならば牌譜や牌姿といったものを、むしろ使わない方向に進むべきなんじゃないかというアドバイスをいただきまして、そういうことを初めていわれて目から鱗が落ちたというか。

引用:麻雀ラジオ第15回より

このやり取りの中で田中氏は麻雀の観戦記は、将棋などの観戦記に比べて筆者の主観や特定の対局者への思い入れが大きく入ってくる点で、単純な記録以上の意味合いがあることにも言及している。これは麻雀の観戦記が阿佐田哲也といった小説家に源流を持つことだと見解を述べている。麻雀の牌、博打的なものに人生を投影する手法などは、須田良規氏の「東大を出たけれど」をはじめ、多くの麻雀エッセイ、コラムに見ることができる。

魔王(田中太陽著)
魔王  秋山成勲 二つの祖国を持つ男 (kamipro books)

[情報商材]井出洋介の麻雀解体新書 他

「まがいものが多い」という点で、あまり良いイメージのない情報商材だが、麻雀にもいくつか情報商材のようなものを試みている人がいる。

・井出洋介の麻雀解体新書(現在は公開終了)

麻雀【1jann.com】麻将連合認定プロ 須藤 浩

麻雀でガッツリ稼ぐ☆フリー雀荘で勝つ方法

[エッセイ・コラム]雀立つ門 須田良規 他

何をもって「正統派」とするのかは置いておくとして、麻雀とそれにまつわる人生語りのような伝統的な世界観を受け継ぐ須田プロのコラム。須田良規プロは近代麻雀に連載されていた「東大を出たけれど」の原作者としてもおなじみである。

雀立つ門(Maru-jan)

[エッセイ・コラム]人気麻雀ブログの作り方 福地誠

月刊ネットマージャンに書下ろしのコラム。サイト運営・文章の書き方について現役のライター視点で語ったもの。「麻雀ブログ」という点を差し引いても、普遍的な要素を含んでいる。

人気麻雀ブログの作り方(月刊ネットマージャン)

[エッセイ・コラム]「オカルト」もリアルからネットへ とつげき東北

雑誌「ユリイカ」の特集に掲載された文章と重複するので「麻雀を知らない人」のために配慮されているようにも読める。

「オカルト」もリアルからネットへ――デジタル的オカルトの誕生、あるいは表現のすすめ (月刊ネットマージャン)

[ブログ]麻雀ブログ全般

戦術を中心としたものから、ネット麻雀の成績、小説風のものまで、プロアマ問わずに多くの麻雀ブログが公開されている。書かれている内容によるカテゴライズよりも、自分がプレーしているネット麻雀のインフラ(東風荘、天鳳、ハンゲームなど)によって分類したほうがわかりやすいのかもしれない。

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